思いはすれ違い、だがそんなことにも慣れた
思いはすれ違い、だがそんなことにも慣れた
父が役所を勧めてきた。
ここに就職したらどうだ?と。
以前も似たようなことがあった。
あれは俺が浪人生の頃、暑い季節だった。
父は俺に警察官になることを勧めてきた。
悲しい気持ちが起こったことを覚えている。
今回も同じだ。
俺は、父からどのように、見られているんだろうか。
今まで頑張ってきた姿を、父はどう捉えているのだろうか。
人付き合いの苦手なやつ、そういう印象は抱いていると思う。
だからって、そこまで頼りないように、見えているのだろうか。
俺は今まで踏ん張って生きてきたつもりだ。
そんな楽々ひょいひょいと物事が進んできたとは思ってない。
だから、そんな姿を家族も認めてくれていると思っていた。
心配させていたのか。
俺はまだ、危なっかしくて頼りのない子どもだったのか。
まあ、とはいえ、そんなことは知らん。
俺は俺のできることはやってきたし、ちゃんとうまくやっているというアピールもしてきた。
だから、ここでまたメソメソするような気にはならん。
すれ違いにはもう慣れた。
俺は俺の道を行く。
悪いけど、他人の期待通りに生きて行くつもりはない。
俺は俺の生きたいように生きていく。
それが、遠回りだけれども、俺も含め、俺の大切な人みんなの力にもなると信じてる。
それで全てが上手くいくということではないけれど、けれども全て上手くいく道なんてないのだから、やっぱりこの遠回りの道がなんだかんだ一番いいんだと信じてる。
閉塞はせん。
と、ここまで書いて、浪人生の頃より成長しているのだなと実感した。
あの大学生活も無駄ではなかった。ちゃんと成長できていた。
俺はあの頃より強くなった。
ある種の覚悟のようなものが、内側から徐々に芽生え始めたのか。
俺はもう親の扶養にも入っていないし、これからは精神・経済の両面で、きちんと自立をする。
先のことも前より具体的に考えられるようになった。
未来が現実に塗り替えられるのをただ待つだけではなくて、自分で現実に向かっていく"強さ"を身に付けた。
俺は自分の人生を生きる。
この船の舵は、俺以外の誰にも握らせない。
あ、もしかしてこれが"主体性"ってやつか。