自分に嘘をつかない

内面を言葉で表現する

ない

 

十八時。十一月にもなればこの時間帯でも十分暗い。

 

陽も沈んだことだし、一日の終わりをなんとなく感じる。

 

さて、ブログを書くために1日を振り返ろう。

 

そんなことを考えながら電車に揺られていた。

 

何もなかった。

 

今日は何もない。

 

出来事がなかったわけではない。大学にも行ったし、他人とも交流して、美味しいご飯も食べて、本も読んで色々考えた(はず)。

 

でもどこかぼやけている。心ここに在らずと言いますか、何も考えられない、いや、もっと正確にいうと考えようとしていない。

 

脳がどうでもいいことだと認識してしまっているようだ。だから多分明日になったら今日のことはなかったことになってるだろう。

 

君は、一年前を振り返って三百六十五日すべてを思い出せるだろうか?

 

きっと十日も思い出せたらいい方だろう。

 

だから、今日は残りの三百五十幾日の一つだったようだ。

 

僕の中身が少年の頃とあまり変わらないのは、一年で十日しか生きていないからだろうか。

 

少年の時の感覚を忘れないように意識はしていたが、無い物ねだりなのだろうか、変わらないというのもどこか悲しい気持ちがする。

 

どうせ変わっても悲しい気持ちがあったんだろうな。そう考えると、今の自分は何かから目をそらしている、何かを見ないように必死になっている、そんなことに気づいた。

 

そりゃ、見なければないよな。

 

 

 

ーー

 

 

 

今日の読み物

 

 

今日も昨日に引き続き夢野久作さんの作品を読みました。犬の王様。ラストが斬新でした。いや別に何かあったというわけではないんですが、想像していた結末のどれでもなく、また方向性すら全く逆だったのが意外に思えたわけです。

というわけでどうぞ。

 

 

*

 

 

Title: 犬の王様

Author: 夢野久作

Source: 青空文庫

 

感想 まとめ

  1. 犬の表現

 

● 1. 犬の表現

 

その犬は狸のようなつまらない汚い犬でしたが

 

「狸のような・汚い」は客観的特徴だが、つまらないは主観的な表現

本作の語り手は第三者ではなく夢野久作自身といえる

夢野久作というペンネーム自体、地方の方言である「夢の久作」(意味: 夢想家の書く話)から取っており、この表現は著者の特徴を色濃く表していると言える

 

 

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あえてラストは載せませんでした。青空文庫は無料で誰でも利用できるのでぜひ読んでみてください。犬の王様を読んで、昨日感じた夢野久作さんのイメージがまたガラリと変わりました。不思議な人ですね。夢想家であることに変わりはないと思いますが、わりとハッピーな夢想をする方だったのでしょうか。なんというか、素朴さと優しさのようなものと同時に淡い少年性も感じました。またこの方の書いたものを読んでみようと思います。