シンクロ召喚 ~組み合わせの妙~
シンクロ召喚 ~組み合わせの妙~
最近、ジャーナリスト志望の人間と出会った。
話を聞いてみると、どうやら書くことに興味があるらしい
特に盛り上がることもなかったので、なんとなく翻訳本をどう思うか聞いてみた
私は、翻訳者には申し訳ないが、できるなら原著を読んだほうがいいという考えである
彼はそうではないらしく、たとえ翻訳本でもキーワード(単語)さえ理解できれば事足りるという考えだった
そしてその時、彼はぽろっと衝撃的なことを口にした。
「キーワードさえあれば文脈とかは、まぁ、ぶっちゃけどうでもいいんですよね。」
…!?
世の中にはキーワードさえあればいいという人間がいるのか。
私は悩んだ。
なぜ彼がそう言ったのかにも興味をそそられたが、
それよりも、私はなぜ今、衝撃的だと思ったのだ?
*
思えばキーワードに着目するという読み方は現代文や英語の授業で習っていた気がする。
たしかに、テストを受ける際この読み方は有効であった
正直に告白すると、
私も受験生の頃はこの読み方をしていた。
キーワードのみに着目すると、やはり読むスピードは上がるのだ。
彼の言うこともあながちおかしなことではないように思える。
だが、文脈については全く別だ。
文脈がどうでもいいということはないだろう
これが素直な私の感想である
どうやら私は文脈を否定されたところに衝撃を覚えたようだ。
なぜ文脈を大事にするのだろうか?
いくらか考えてみると、それっぽいことがちらほら思い浮かぶ。
たとえば、私は単語を大事にしている。
だが単語というものはそれ自体では成り立っておらず、
おかしなように聞こえるかもしれないが、関係性の中にしか存在しないと思っている。
だから、単語の意味を答えろと言われたら、
辞書的な意味の返答はできるが、私はそれ以上のことはできない。
ではどうするかというと、
単語と単語をつないで文章にし、文章同士で関連性を持たせて文脈に昇華させるのだ。
こうしてやっと、何かそれらしい、辞書を超えた意味のようなものが生まれてくると思っている。
だから、文脈をないがしろにするような発言に強い違和感を覚えたのだと思う。
*
今回の件で、人と会って話すことは大切だと改めて気づかされた。
自分一人で考えることももちろん大切なことではあるが、
自分だけでは行き詰まってしまうこともある。
そんな時、全く違う考えを持った他者と出会うことがどれほど為になるか。
単語、言葉の世界もそうだけど、
人間の世界も関係性が意外と大事なことなのかもしれない。
まぁ、自分一人で考えることも大切なんだけどね。