言葉の診断
人は自分が今どんな状態か、意外と分からないものだ。
精神病患者が自分を正常だと主張するのと同様に、自分を正常と思い込んでいる多くの人たちもまた、ズレている部分がある。
と考えている私だけがズレているのかもしれない。
さて、ではどうすれば人は自分を診断できるのだろうか?
一番早いのは他人に指摘してもらうことだろう。
よく意味の分からない発言に対して「病院へ行け」というツッコミがあるが、あれは至極真っ当な意見だと思う。
精神がズレている人は精神科医に行ったほうがいい。
では、精神科医にいくほどでない人は?
ここに関しては、人それぞれ自分なりの方法があるだろうが、俺は言葉で診断するようにしている。
診断というのは、口にした言葉、思い浮かんだ言葉、無意識に出てきた言葉、このような言葉たちを「なぜ俺は今この言葉を使ったのだろう?」と内省することである。
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今日はまずい言葉を口にしてしまった。
歩道を歩いていたら後ろから郵便のバイクがきて、ちょっと先の歩道を塞いだ。
その歩道はバイクの止めたあたりからガードレールがついており、少しの間車道に出て歩く羽目になった。
バイクは歩行者が見えていたはずなのに、なぜ堂々と歩道に止めたのか、せめてガードレールまで歩行者が行ってから後で止めればいいのではないか、なめているのか、ふざけているのか、と思い、瞬間的に怒りが湧き上がった。
そしてバイクに向かって死ねと言ってしまった。
ちょっとして後。
自分の状態がすこぶる悪いことに気がついた。
歩道を塞がれた程度で死ねと、頭で思うならまだしも直接口にしてぶつけるのはかなり精神の状態が危ない。
偶然があと一つ二つ重なると事件すら起こしかねない状態だ。
何が自分をここまで追い詰めているんだろう。
考えてみると、真っ先に思いついたのは先延ばしにしていた卒論と就活だった。
ちょっと笑える。
卒論と就活ごときでここまで乱されるとは。
いや、もしかして真の苛立ちはその背景にある、人生に対する不安だったり、やりたいと思っているけどやれないことだったり、そっちなのかもしれない。
まあどちらにせよ、それは卒論と就活を終わらせれば分かることだ。
卒論と就活が終わってもまだ苛立つようなら、自分に対して嘘をついているということ。
よし、卒論は今年度中に、就活は来年の二月中にやってしまうぞ。
おー。