自分に嘘をつかない

内面を言葉で表現する

釣り糸

 

いくつほどか、目の前に釣り糸が垂れている。

 

食ってしまいたい果実を携えて。

 

あの実はなんだろう?

 

どんな味がするだろう。

 

食いつきたい。

 

欲望に混じって、理性が抵抗する。

 

ダメだ。

 

あの実には針が潜んでる。

 

あれを食ったら自分がダメになってしまうんだ。

 

分かってる。

 

欲望が負けじと押してくる。

 

ただ、食ってみたいんだ。

 

あれを食ってみたいんだ。

 

釣り糸と分かっていても、針があると分かっていても

 

欲望の前では人の皮など意味なし

 

この防御壁じゃ守りきれません

 

人って獣の上辺に取り繕ったものだったんだ!

 

畜生道?

 

ワハハハハ

 

人も畜生でーーーす

 

あ、千と千尋の神隠しで両親が豚になった意味

 

分かった気がする。

 

あれは他人のモノを貪って人の線を超えたから、皮が剥がれて獣になったんだ。

 

ハハハハハハハハハ

 

って考えると、

 

問題は果実の方じゃない。

 

俺が、人の皮を剥ぎたいかどうかだ。

 

人として生きるか、畜生として生きるか。

 

考えようによっては

 

畜生の方が

 

楽で

 

楽しいかもしれない。

 

ん?

 

あれ、この問い方は合ってるだろうか?

 

人って動物だよ。

 

なのに人か獣か?

 

ああ?

 

まさか、人っていうのは

 

動物でありながら

 

人らしさを求めることを言うんじゃないの?

 

人が思う「人」って、実はどこにもいないのかもしれない。

 

みんな「人」になろうと、もがいて

 

挫けて、

 

諦めようとして

 

諦めきれない

 

ああ、だから

 

「人は動物」って前提をしっかり理解して

 

その上で、「人」であろうとするか

 

それとも諦めて「獣」になるか

 

そういう問い方はしてもいいんじゃないだろうか。

 

俺は人でありたい

 

理由は、

 

 

 

わからん。

 

ただ、なんとなくそう思う

 

そういう理由でいいんだと思う。

 

今ちょっと思い浮かんだのは

 

大事な人たち

 

家族とかね

 

あと思い出とか、忘れちゃならないこととか

 

そういうもの、

 

そういうものたちを、忘れたくないから

 

俺は「人」でありたいんだと思う。

 

獣になったら

 

何が大事だったか

 

分からなくなりそうだもんな。

 

俺には大事なものがある。

 

そういうものたちが

 

俺を「人」の方向に、

 

進ませてくれてるんだと思う。

 

やっぱり、大事なものって大事だな

 

忘れない。

 

忘れないでいたい。