不動産
私は生活が好きだ。
食う寝るところに住むところ。
食べ物と住むところは、特に興味がある。
もっともっと、色んな美味しいものを食べたり、いい環境で生活したいと思う。
自然に、心の底から湧いてくる楽しみの一つだ。
これ以外に、最近は衣類も好きになってきた。
今までは特に何とも思っていなかったが、見た目・印象に対する考え方が変わったからか、衣類に関しても興味を持つようになった。
衣類に興味を持つということは、俺の中では社会性が高いという意味でもある。
そこには、他人にどう見られたいかという意識があるからだ。
そう考えると、いつの間にか俺は社会の中で生きていくという決心ができたのだろうか。
以前は自然の中で生活したい気持ちがいくらかあった。
今はもうない。
そう思えるようになったのは、やはり山小屋での生活体験が大きかったのだろう。
実際に山で暮らしてみると、食べ物が美味しく感じたり静かだったり気持ちが落ち着いたり、いいことがたくさんあった。
なにより、街の中では見過ごしてしまうことや忘れてしまうことを、自然と思い出したり気づくことができた。
改めて自然が好きだと思った。
でも、人間は進化したのだ。
もう狩りをする必要はないし、耕作もすべて人力でする必要はない。
それと同時に、大自然の中で暮らさなくとも、人間はもう社会の中で生きていけるのだ。
よく、東京は人間の住むところじゃないなんて揶揄されるが、そんなことはない(新宿は除く)。
人間はもう街に住めるようになっている。
俺も例外ではない。
山で働いている時、休憩時間に岳を登った。
右手を見ると街が見えた。
左手を見るとさらに大きな自然があった。
俺はどちらに行きたいか。
すぐに答えは出なかったが、最終日には、街と決めた。
理由はそんな分かりやすいものではない。
理由があって答えを出したのではなくて、答えだけ浮いてきたのだから。
多分、今になって思うと、俺の大切なものや人たちは社会の中にいて、そこに引っ張られたのだと思う。
そういう訳でその時はそう思った訳だが、それが自分の中で根付いているのは少し嬉しい。
あの時のあの気持ちは嘘じゃなかったんだと。
もう一人の僕と少しリンクできたような気がした。
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さて、こうして社会で生きていくという方針は決まったわけだが、ここからが問題だな。
美味しいものを食べる、いいところに住む、好きな服を着る。
美味しいものと好きな服は何とかなりそうだ。
食べ物はスーパーのものでも目利きしたら安くていいものが買えるし、少し出向いて専門店なんかにいくともっといい。十分だ。
服もそんな買うわけではないから、まあ問題ない。
問題なのは住むところ。
日本、特に東京は不動産の金額がデタラメなんだ。
こうなるといいところに住もうと思ったらかなりのコストが必要になる。
うーん、不動産、勉強するかな。
いっそのこと、自分が売る側に回ろうか?
手の内に入って、美味しいところをいただこうかな。とか考えてみたり。